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2008年12月19日

こんな作品を観た−19

12/9(火)〜10(水)

◎『カーズ』
『こんな作品を観た−17、18』に同じくディズニーアニメ三昧の続きとして観賞。
真っ赤でピカピカなボディがトレードマークのレース・カーが主役の人間が出てこない車たちの世界の物語。
オレが観たものは、日本語吹替え版で、主人公の親友になる、その田舎町のオンボロレッカー車の声を、隔週職場でお見かけし、実にいい人だと知りつつも、芸人として、ちらと瞬間的にもその姿を目にすることを忌み嫌っている“ぐっさん”こと山口智充が担当していたのでウンザリしたが、この物語には泣かされた。
内容は、レースでチャンピオンを目指す人気者の主人公(主車公かな?)が、ある晩、決勝の地へ向かう途中、運搬するトレーラーと自らの居眠りからルート66号線沿いにある寂れた田舎町へと迷い込む。
この突然のハプニングで気が動転した彼は、暴走で町の道路をメチャクチャに破壊してしまい、そのスピード違反と破壊行為から逮捕、裁判で破壊した道路の補修を命ぜられ、それが完成するまで拘束される。
その道路の補修までの期間に触れ合った個性豊かな住民たちにより、自分の人生には何かが失われていたことに気が付くというもの。
特に泣かされたのは、その田舎町で医者を務め、裁判長も務めている頑固オヤジが、実は三冠という偉業を達成した伝説のレース・カーであり、絶頂期にレース中の事故により、怪我は治ったものの、その復帰を誰も待っていなかったことが引退の原因となったことが判明。そして、彼はそれを苦い思い出とし、町の仲間達にもその事実を隠し通して生活していた。
ところが、この突っ走ることを生き甲斐としている、時期チャンピオンと目されていた主人公との触れ合いにより、ついぞテクニックについて喋ってしまったりし、また、傲慢でピットクルーを失っていた主人公のために、内緒でレース当日、サーキットに姿を現すが、ここで会場がその姿に狂喜する。で、涙だ。そう、当たり前のことだが、成長を遂げ行く、教わる側に兎角注目が集まる形で進行する物語にあって、これはその教えた側も教わる側に携わったことで輝きを増すということがしっかり描かれていることに最大の敬意を表したい。つまりこの作品の核心は、人のために動く人間(車か!?)こそが、それにより自己を高め輝かせるという人類最良の思想と、それを根底に据えた、来るべく少子高齢化社会における高齢者の価値的な生き方とは何かとの問いに対する答えの示唆にあるように思えてならない。
そして、主人公は伝説のチャンプの指導に基づき優勝を目の前にするも、これが最後のレースとなる現チャンプが接触事故によりクラッシュしたことを放っておけず、両者ともルール違反の失格となるが、チャンプに最後まで走り切ってほしく、共にゴールインするため後押しし、優勝を逃す。
しかし、これこそが主人公が伝説のチャンプから受け継いだ一番の宝であり、これを境に彼は真のレーサーとして名声を博することとなる。

フル3Dの映像もまた物語に負けず劣らずの感動もので、そのリアルな質感とスピード感に溢れ素晴らしかった。
ピクサーとディズニーがタッグを組んでいるのだから当たり前とは思うが、それを承知で観ても単純にやられてしまた。
また、ディズニーアニメを立て続けに観てきたが、実際にカメラで撮影するものよりも、ひょっとすると、映画的なカットについて優れているかも知れないとの考えを強くした。
つまり、切り取るセンスを必要とするそれより、一から作り上げるアニメの作業の方が、スクリーンのワイド画面に適したカットというものを、知悉しているもかも知れないということだ。勿論、十羽ひとからげにそう決めつけるつもりはないし、これについてはまだまだ考察を続けていきたいが、これからはアニメ作品上がりの人間が、カメラなりメガホンを執った方が、まずは画として優れた映画を送り出してくれそうな気がする。
具体的には、報道陣に囲まれ、レース場に向かうため、田舎町を去る主人公を、恋仲一歩手前となったポルシェの女が見送るシーンが素晴らしく。右端のポルシェの後ろ姿舐めに、左を奥へと去っていく主人公、長回しの末、少しだけ、そう、ほんの僅かだけ、右へパーンさせるあたりが、ポルシェの女の寂しさを実に巧く表現しているようで心憎かった。
その他のキャラクターと主人公の関係性も鮮やかで、それにつけても、車という無機質な物体だからこそ、客観的にその心模様というものに対して感情移入が容易だということが分かり勉強になった。

◎ディズニーの最新作『WALL-E ウォーリー』の番宣番組
メイキング映像をはじめ、スタッフ・吹替えキャストのインタビューなど貴重な映像満載で、公開目前のその魅力に迫るというもの。
700年間、たった一人(一台?)で地球に取り残され、何時しか感情が芽生えていたゴミ処理ロボットのウォーリーと、ネタバレしないよう当たり前に詳細は語られていなかったが、イブと呼ばれていた美しく、優秀なロボット(新型?他の惑星のもの?)との愛の物語。
ちらと観た本編の画が、これまた素晴らしい。そして、どうやら知りうる範囲でその内容も素晴らしそうだ。
メイキングで出てきたが、言葉を喋らないロボットの意思の疎通を電子音で表現しているのだが、これがあの『スターウォーズ』の音効さん、あの『R2D2』の声を創り出した方が担当しているというのだから、その点のみでも必見の作品だろう。
オレはこの番組を、同一ディスクに録画されていた前出の『カーズ』に続いてそのまま観たので、『カーズ』同様、否、殊更、無機質な物体だからこそ、客観的にその心模様というものに対して感情移入が容易だということを痛感した。
因みに、この作品絡みのイベントで、これまた奇しくも前出の“ぐっさん”が、ナビゲーターとしてちらと登場していたが、その対象が絶品に値するものであれ、やはりこれにはウンザリさせられてしまった。
出来れば、劇場に足を運びたい。

◎今年10月中旬から六本木ヒルズにて開催した『東京国際映画祭 2008』の模様をWOWOWが番組としたもの
『東京国際映画祭』は、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の下、1985年にスタート。日本の映画産業、文化振興に大きな足跡を残してきたアジア最大の国際映画祭とのこと。
21回目を迎える今年は、エコがテーマ。エコの象徴であるグリーンをテーマ・カラーにして、映画祭ではお馴染みのレッド・カーペットをグリーン・カーペットにするという凝りようだった。
因みに、このグリーン・カーペット、今回のテーマであるエコロジーをアピールすべく、なんと回収されたペットボトルを再生して作られていたそうだ。
しかし、そこまでされたカーペットを闊歩する綺羅星の如くスターのお姿が、映像として大してよく捉えられておらず、その熱狂的なファンでない以上、「こんなの見せられても何とも思わねえよ」とか、「これリアクションに困るよ」という感想しか持てぬものだった。

番組終盤、直木賞作家・重松清さんの絶賛と反響を巻き起こした連作短編小説『その日のまえに』映画化した巨匠・大林宣彦監督のインタビュー映像があった。現在70歳と。オレの親父と変わらないが、元気に第一線でご活躍なされている姿を嬉しく思った。しかし、「七十で新人」という言葉には興醒めした。勿論、これは監督ご自身の今現在の心境を率直に語ったものだろうし、日々生まれ変わるというか、日々新鮮に、挑戦の気概を忘れずに仕事に取り組みたいとの心意気ではあると思うが、オレのように捻くれた不遇の男には、「だったら一人でも多く才能あると思しき無名の新人に道を開けてくれよ、な、ジジイ」と思わせるものだった。

◎『鉄板英雄伝説』
オレは全く知らないが、脚本家のジェイソン・フリードバーグとアーロン・セルツァーというパロディー映画の辣腕コンビが監督も務めた作品。
きっと知らないものや、知っていてもそうと気付かなかったものも沢山あったろう、冒頭の『ダヴィンチ・コード』を皮切りに、『スネーク・フライ』や『X−MEN』、『チャーリーとチョコレート工場』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『スーパーマン』、『ハリー・ポッター』、『スターウォーズ』など、ハリウッド超大作をネタにしたパロディーのオンパレード。ベースは『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』だ。
見せ所は続々登場するパロディシーンに間違いないが、モノマネや、こういったパロディー映画があまり好きではないオレにしては、結構、笑ってしまったが、それは内容の馬鹿馬鹿しさによるものであり、パロディー故のものではないと確信する。
内容は、チョコレートの中に入っていた黄金のチケットにより集まった4人の孤児が、といっても皆、十分大人なのだが、閉じ込められたチョコレート工場で、抜け道になっている洋服ダンスを発見するが、そこは白いアバズレ魔女が権力を握る国だった。で、その4人の孤児は、誰がどう見ても異なる人種なのだが、実は兄弟であったことが判明し、予言の通り魔女を倒すという話。
因みに、チョコレート工場の工場長が、オレが大好きな映画『バック・トウ・ザ・フューチャー』シリーズで、主演のマイケル・J・フォックスの父親役を務めたクリスピン・グローヴァーだったことが存外に嬉しかった。
総じて、きっと低予算だったに違いないとの感拭えないながらも、これが随所では大作のスケール感を見事に写し出していた手腕素晴らしく、パロディーであるか否かを問わず、単純に映画的で素晴らしい画も多く、楽しい作品だった。
posted by ありきたり at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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